障がいのある児童生徒にとってデジタル教科書はメリットとなる可能性があるがその課題も『「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議』

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(ドロップレットシンボルより)
文部科学省の「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第6回) 配付資料が公開されました。

注目すべきは情報学研究所の新井紀子氏のこの資料。
(資料1)デジタル教科書の諸問題(新井紀子氏提出資料) (PDF:444KB)
当日は傍聴させていただくことができました。
新井氏は「デジタル教科書のメリットの検証1」として以下の事をあげています。

障碍や困難がある子ども達への支援
– 必要な生徒にデジタル化した教科書を提供する枠組みは既にある。より充実することが望ましい。
– 動画・音のコンテンツはユニバーサルデザインではない。
• アノテーションをつける方策がないため、盲ろう児は利用できないコンテンツが圧倒的に多い。
– テキストより動画のほうが深く理解できる児童もいるが、逆に動画ではテキストより理解が減る児童もいる。

としています。
障がいのある子どもにとって、特別支援教育関係の方でなくてもこういった意見をいただくのはとてもありがたいです。
ただし,メリットと一緒に課題も書かれています。
つまり,どのような形態になるのか,ぜひ議論を尽くしていただきたい。
当日の委員の方からは,動画があってよかったのではという指摘もありましたが,よい効果もあるが困った面もあるというような両面を見ていく必要があると新井氏はおっしゃられていたと思います。
それから,これとは別に以下の内容はとても興味を持ちました。
「デジタル教科書のメリットの検証5」

教科書上に書き込みをしたりできるが、それを消すこともできる。
– 現状のPCやタブレットでは、「書き込み」にかかる児童の認知負荷が高すぎるため、内容よりも形式(色を選ぶ、太さを選ぶ、形を選ぶ、文字を探す、変換の正しさを確認する等)を整えることに認知処理のエネルギーが奪われてしまう。

というもの。

認知負荷

がかかるというのはよく分かります。紙で書くことよりもPC等のデジタルデバイスへの操作はこれまでの私たちの歴史の中では比較的新しい操作方法となりますので,私自身もPCとスマホと紙を使い分けているように,子どもたちも戸惑ってしまうかもしれません。
しかし,紙に書くことに困難がある子どもたち(肢体不自由や、視覚障害,書字障がいなど)は紙の操作自体がむずかしい場合がありますので代替手段としてPC等に入力する方がより効率的になります。
でも,それと同時に認知負荷がかからないような工夫は求められるでしょうね。
書くことが大切なのではなく,書くことを通して自分の考えを整理したり,意見を人に伝えることが可能となる。でもその前の操作段階で大きな認知負荷がかからないような支援が求められると思います。
またもしかすると,それはこれからの新しい時代に生きる子どもたちにも同じようなメリットがあるのかもしれません。
また,新井氏は最後に

AIに代替されないような能力をどのように身に着けるかを検討することの方が喫緊の課題である。

と書いています。
「ロボットは東大にはいれるか」 のプロジェクトリーダーとしても有名な新井氏も人工知能が発展して機械ではできない,人間が教えられることはないかということを常に考えられていると思います。

そして,それは私たちにも考えていかなければならない命題だと感じます。
どちらにせよ,とても興味深い検討会でした。

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